星空保護区®西表石垣国立公園
美しいサンゴ礁に囲まれた日本最西南端の島々「八重山諸島」。夜になると、真っ暗闇の中に輝く星々、海に浮かぶ月、どこからか聞こえてくる夜行性生物の鳴き声と優しい波音があたりを包み込み、地球本来の夜が姿を現します。
八重山諸島の美しい夜を私たち自身で未来へつなぐため、八重山諸島の大部分ある西表石垣国立公園を、国際機関「ダークスカイ」に申請し、2018年3月に日本初となる「星空保護区®(ダークスカイ・パーク)」の認定を取得しました。
星空保護区®とは
光害の影響のない、暗い自然の夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える制度(「ダークスカイプレイスプログラム」の和名)です。認定には夜空の暗さ(星空の美しさ)だけでなく、屋外照明に関する厳格な基準や、地域における光害に関する教育啓発活動などが求められます。また認定の公表により夜空保護の重要性や光害問題の現状と対策について広く啓蒙することを目的としています。
日本最西南端の国立公園【西表石垣国立公園】

西表石垣国立公園は、琉球諸島の最南端に位置する八重山諸島のうち、西表島、石垣島、西表島と石垣島の間に広がる石西礁湖とその中にある島々、鳩間島、波照間島及びその周辺海域を合わせた公園の総面積は122,155ha(陸域:40,658ha、海域:81,497ha)を公園区域としています。(2024年3月現在)
同公園は、昭和40年に西表政府立公園として指定されたのがはじまりで、昭和47年5月15日、沖縄の復帰に伴って西表国立公園となり、その後、平成19年の石垣地域の編入に伴い、西表石垣国立公園となりました。日本最大のサンゴ礁海域、河川・河口域に広がるマングローブ林、原生的な亜熱帯照葉樹林といった日本を代表する亜熱帯特有の自然景観と、自然環境を背景に育まれてきた琉球特有の街並みや祭祀などの文化景観などが特色です。また、イリオモテヤマネコやカンムリワシをはじめとした希少な生き物が生息しています。
※国立公園とは環境大臣が自然公園法に基づき指定し、国が直接管理する自然公園のこと
私たちの理念
☆八重山諸島の夜の自然環境を保全し、旅行者が夜の自然に触れる体験を提供する。
☆滞在型観光を実現することで地域の持続的な発展に貢献する。
八重山諸島の美しい夜を私たち自身で未来へつなぐために必要な活動を実践しているのが、八重山地域の観光事業者を中心とした組織「星空H2O(ほしぞらエイチツーオー)」です。
”私たち”とは「西表石垣国立公園ダークスカイ・パーク」であり、またこれを陰ながら支えている存在「星空H2O」でもあります。星空H2Oの仲間には、夜の八重山を案内する星空ツアーガイドや、八重山諸島の旅の楽しみのひとつでもある飛行機や船などの旅客運送、民宿やホテルなどの宿泊施設も含まれます。
私たちは、八重山諸島の夜がどれほど美しさに満ち溢れているかを知っています。昼とは一変した夜を体験することで、この島の自然をもっと、より深く知ることでしょう。
夜を体験することは自然に触れることだけでなく、島に暮らすひととの交流にもつながります。島の人が作った地元のおいしい料理を食べて、お酒を酌み交わしながらおしゃべりすることもひとつです。一度きりではない宝物のような時間が生まれるかもしれません。
私たち(星空H2O)の活動
夜の自然環境保全
西表石垣国立公園ダークスカイ・パークとその周辺地域の夜の自然環境を保全するため、DarkSkyやDarkSky東京支部、自治体や観光協会、関連企業と協力し、光害への屋外照明対策や地域住民への啓もう活動等を実施する。
旅行商品の造成・販売
会員メンバーが中心となって、八重山諸島ならではの夜の観光資源を活かした旅行商品を造成・販売する。またこれらの魅力を発信することで、地域ブランドの拡充を図る。
会員相互の情報交換および地域住民との交流
定期的に情報交換会や研修等を実施する。また地域交流としての星空観察会等を主催する。
☆メンバー随時募集中☆ くわしくはこちら

光害(ひかりがい)について

光害とは、照明の設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起こるさまざまな影響をいいます。日本では環境省が「光害対策ガイドライン」を策定していますが、「光害」の防止を目的とする法律はありません。一方で自治体が光害の防止や星空に保全を目的として制定する「光害防止条例」が存在します。光害防止条例は1972年に米国アリゾナ州ツーソン市(DarkSkyの本部がある町)において、天体観測に悪影響を及ぼす屋外照明を制限する条例が制定されたのが最初の事例と言われています。日本では1989年に岡山県美星町が制定した「美しい星空を守る美星町光害防止条例」がはじまりとされています。
環境省星空観察情報サイト「ほしぞらを見よう」
西表石垣国立公園ダークスカイ・パークがある石垣市と竹富町には現時点で光害防止条例は制定されていませんが、公園内の照明は「照明管理計画」によって管理されています。また、環境省石垣自然保護官事務所・西表自然保護官事務所と連携し、事業者向けハンドブックや住民向けハンドブックを作成・配布して周知を図っています。
Five Principles for Responsible Outdoor Lighting(責任ある屋外照明の5原則)

必要性 | 全ての照明は、明確な目的を持つこと。 |
光の向き | 必要な場所だけを照射するよう、向きを調節すること。 |
光の量 | 必要最小限の明るさで使うこと。 |
制御 | 必要な時間にだけ点灯すること。 |
光の色 | 可能な場合は、低色温度(電球色)の光を使うこと。 |